本を読んで生きている

 和歌山市の中心商店街「ぶらくり丁」かいわいに、本好きをうならせる選書で評判の書店「本町文化堂」があります。店舗2階にはイベントスペースを併設し、近くのミニシアターとタッグを組んで映画上映会や講演会なども催しています。店主の嶋田詔太さんが、オススメの本を通じて日常をつづります。

ディック・フランシス著、菊池光訳「敵手」

「あなたはわたしに勇気を与えてくれるわ」
私は首を振った。「勇気はきみの中から湧いてくる。その時になればわかるよ」(中略)
「勇気は孤独なものだ」私が言った。

 古本の査定で、よく誤解されることがあるが、もともとの定価の高い本に高い値段がつくわけではない。例えば昭和の時代に多く出た、応接間に飾られるタイプの数十万円はしたであろう全集や百科事典のほとんどは、無料で引き取ることも難しい。

 逆にひと昔前、1980年代や90年代のファッション雑誌に思わぬ値段がついたりもする。古本の価値は求める人がどれだけいるか。要は売れるか売れないかである。

 先週末、主に70年代から9…

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